投資を始めたばかりの方の中には、「東証というのは聞いたことがあるけれど、名証ってなに?」「一部と二部ってどう違うの?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
この記事では以下の3点についてご紹介をしております。
・名証二部とはなにか?
・名証二部にはどんな企業が上場しているのか?
・名証二部に上場しているとどんなメリットがあるか?
この記事の目次
名古屋で比較的有名な企業が上場しやすい名証二部
名証とは?
名証とは「名古屋証券取引所」のことです。
証券取引所とは株式などの売買が行う場所であり、上場している株式会社と投資家との間を取り持ち、株式取引を円滑にする役割を担っています。
日本には北から札幌、東京、名古屋、福岡の4ヶ所の証券取引所があります。
この記事ではこの4つの証券取引所のうち名古屋にある名証の二部について解説していきます。
名証に上場している企業の多くは東証(東京証券取引所)にも上場していますが、東証に比べると小規模であることは否めません。
名証には一部と二部が設置されています。
名証一部、二部ともに実績があり、条件を満たした企業でなければ参加することはできません。
また名証一部に上場するためには二部に上場した後、さらに厳しい条件を満たす必要があります。
名証二部に上場している企業には、名古屋で比較的有名な企業が集まっています。
名証一部にはもちろんですが、名証二部にも名の知れた企業が上場しているのです。
名証二部に上場するための条件
名証二部に上場するためには「上場審査基準」というものがあり、
・形式基準
・実質基準
と2段階あります。
形式基準を満たした企業が上場申請することができ、実質基準で審査されます。
「形式基準」には以下の12の条件があります。
①株主数
「株主数300人以上」
名証二部に上場するためには、上場時見込みの株主数が300人以上であることが条件になっています。
多くの人が投資して株主となる価値があると考える企業が名証二部に上場することができます。
②流通株式数
「流通株式数2,000単位以上かつ上場株式数の25%以上、または上場の前日までに公募または売り出しを1,000単位、または上場株式数の10%のいずれか多い株式数以上を行うこと」
流通している株式数が多く、さらに上場している株式数のうちの流通している株式数の割合が高いと上場することができます。
③上場時価総額
「上場日見込みの時価総額10億以上」
上場企業において時価総額は以下の式で算出します。
「時価総額=公表上場株式数×株価」
つまり公表している上場株式数が多いほど、また株価が高いほど時価総額は高くなります。
上場時の時価総額は10億円以上になるには株式数だけではなく、ある程度株価が高いことも要求されます。
④純資産
「上場時見込みの、連結純資産3億円以上かつ単体純資産の額が正」
純資産は以下の式で算出されます。
「純資産=資産総額ー負債総額」
ある程度の純資産があること(正=プラス)が要求されます。
⑤利益または時価総額
「最近1年間総額1億円以上 または 時価総額500億円以上(最近一年間での売上高が100億円以上)」
ある程度の売り上げがあることが要求されます。
これ以降は名証一部と共通の形式基準となっています。
⑥事業継続年数
「3年以前から取締役会を設置し、継続的に事業活動をしている」
⑦不正
「最近2年間「虚偽記載」なし、最近2年間監査意見「適正」(最近1年間は無限定適正)」
一定期間の不正のない状態が要求されます。
無限定適正とは会計監査において適正であることを意味します。
⑧監査
「最近2年間の財務諸表及び最近1年間の四半期財務諸表等について、上場会社監査事務所の監督または四半期レビューを受けていること」
財務諸表とは決算時に重要な書類です。
財務諸表が適切であることが求められます。
⑨株式事務代行機関の設置
「株式事務代行機関に委託しているか、または株式事務代行機関から株式事務を受託する旨の内諾を得ていること」
株式事務代行機関とは株式を発行した会社に代わって、株主名簿の管理など株式に関する事務を行う機関です。
適切な株式事務が行われていることが求められます。
⑩単元株式数
「上場時に100株となる見込みがあること」
単元株とは株式が売買される際の単位です。
100株の場合には、売買できる最低の株式数が100株であり、100株単位で売買を行うことになります。
⑪株式の譲渡制限
「上場時までに上場申請に係る株式の譲渡につき、制限を行わないこととなる見込みのあること」
株式の譲渡制限は株式保有者の変化によって企業の事業活動が円滑に行えなくなることを防ぐためにある制度です。
名証一部、二部に上場するためには株式の譲渡制限を行わないことが条件になっています。
⑫指定振替機関における取り扱い
「上場の時までに指定振替機関の振替業における取り扱いの対象となる見込みのあること」
振替機関の取り扱いの対象となることで、株式取引を公正・効率的に行うことができます。
「実質基準」には以下の5つの基準があります。
1.継続性・収益性・安定性のある企業であること
2.経営が健全・公正・忠実であること
3.コーポレートガバナンスが機能していること
(コーポレートガバナンスとは、会社が社長や従業員のものではなく、株主のものという考えです。コーポレートガバナンスには機能していると社長が会社を私物化することを防ぐことができるなどのメリットがあります。)
4.企業の透明性
5.その他名証が必要と認める事項
以上のように名証二部に上場するにはさまざまな条件・審査が設けられており、上場していると信頼を得ることができたり、会社の知名度を上げたりすることができます。
名証二部に上場している代表企業
食料品
・井村屋グループ
井村屋グループはあずきバーやたまごアイス、中華まん、ようかんなどを主力製品としている菓子製造会社です。
三重県津市に本社を置いています。
・ユタカフーズ
ユタカフーズは醤油や味噌、酢などの調味料の製造を行っているメーカーです。
愛知県知多郡武豊町に本社を置いています。
工業
・東芝
東芝は東芝グループの主力会社であり、日本国内で大手の電機製造会社です。
エネルギーやインフラなどの事業も積極的に行っています。
・東洋電機
東洋電機はエレベータなどのセンサ、受配電盤などの電気制御機器を主力分野としている電機総合メーカーです。
愛知県春日井市に本社を置いています。
サービス業
・ワシントンホテル
ワシントンホテルは日本のホテル会社です。
昭和40年代からビジネスホテルチェーンを展開しており、愛知県名古屋市に本社を置いています。
・名鉄運輸
名鉄運輸は名古屋鉄道グループ傘下の運輸会社です。
日本全国に関連会社があり、愛知県名古屋市に本社を置いています。
まとめ
名証二部に上場するためには、一部上場よりは緩いながらも一定の条件を満たす必要があります。
上場企業には事業活動のある程度の大きさ、公正さ、透明さなどが求められます。
名証二部に上場しているということは前述の条件を満たしているため、信頼得ることができたり、知名度を上げたりすることができます。
よって名証二部には名古屋で比較的有名な企業が集まっています。